投稿日:2024年2月28日(2026年9月10日更新)
※ 本記事は「PFAS(有機フッ素化合物)は水道水にも含まれているの?」「水道水にもPFASは含まれる?検出される理由と調査・分析・対策方法」を更新したものになります。

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【この記事のポイント】
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全国各地の水源や水道水で、健康影響が懸念されるPFAS(有機フッ素化合物)の検出事例が報告されています。
2026年4月からは、PFOS及びPFOAが水道法に基づく水質基準項目に位置づけられ、水道事業者や専用水道の設置者には、より厳格な水質管理と情報提供が求められています。
水道事業者や専用水道を管理する企業・自治体は、水源や給水栓水におけるPFASの検出状況を正確に把握し、基準値を超過した場合に速やかに対応できる体制を整えることが重要です。
本記事では、水道水からPFASが検出される背景や、調査・分析時の確認点、基準値を超過した場合に検討される除去・低減策を解説します。
INDEX |
PFAS(Per- and Polyfluoroalkyl Substances)は、有機フッ素化合物のうち、特定の構造を持つ物質群の総称です。
OECD(経済協力開発機構)が2021年に示した定義では、「少なくとも1つの完全にフッ素化されたメチル基(-CF3)またはメチレン基(-CF2-)を含む物質」とされています。PFASには多くの種類があり、その数は数千種類以上に及ぶとされています。
PFASは、撥水性・撥油性、耐熱性、化学的安定性などの特性を持つため、半導体、電子機器、調理器具のコーティング、泡消火薬剤などに使用されてきました。一方で、環境中で分解されにくく、長期間残留しやすいことから、「フォーエバー・ケミカル(永遠の化学物質)」とも呼ばれています。
現在は、環境残留や人の健康への影響に関する懸念を背景に、国際的に管理・規制の検討が進められています。
PFASの特徴や問題点、規制動向について詳しく知りたい方は、下記の関連記事をご参照ください。
【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)とは?特徴から問題点、規制の最新動向まで
PFASのうち、PFOS・PFOA・PFHxSなど一部の物質は、環境中で分解されにくく、生物に蓄積しやすい性質があることから、POPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)などにより、国際的に廃絶や使用制限の対象とされています。
日本では、POPs条約への対応などを踏まえ、以下の3物質が化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)の第一種特定化学物質に指定されています。
一方で、水道水の水質管理では、全てのPFASに一律の基準値が設定されているわけではありません。日本では、2026年4月からPFOS及びPFOAが水質基準項目に位置づけられ、合算値で管理されています。
海外では、EPA(米国環境保護庁)が2024年4月に、飲料水中のPFOA、PFOS、PFHxS、PFNA、HFPO-DA(GenX化合物)について個別の最大汚染濃度を設定し、PFBSを含む一部のPFAS混合物についてもHazard Indexによる管理を導入しました。
その後、EPAは2026年5月に、PFOA・PFOSの基準を維持する一方、PFHxS、PFNA、HFPO-DAおよびこれら3物質とPFBSを対象とするHazard Index混合物については、規制を撤回する規則案を公表しました。
2026年8月時点では提案段階であり、最終決定には至っていません。
日本でも、PFHxSやその他のPFASについて、国際的な動向や検出状況を踏まえ、要検討項目として知見の収集が進められています。
2026年4月1日より、水道水におけるPFOS及びPFOAは、これまでの水質管理目標設定項目から、水道法に基づく水質基準項目へ移行されました。新たな基準値は、以下の通りです。
| 項目 | 基準値 |
|---|---|
| PFOS及びPFOA | 合算値で0.00005 mg/L(50 ng/L)以下であること。 |
この見直しにより、水道事業者等には、PFOS及びPFOAに関する水質検査の実施と基準遵守が義務づけられます。
水質基準化の背景には、全国調査で水質基準化の要件を満たしたことに加え、2024年6月に内閣府食品安全委員会が公表した評価書で、PFOS及びPFOAのTDI(耐容一日摂取量)が、それぞれ20 ng/kg 体重/日と示されたことがあります。
一方で、PFHxSについては引き続き要検討項目に位置づけられています。また、国際的な動向や一斉分析による検出結果を踏まえ、PFHxS以外の複数のPFASについても要検討項目に追加され、情報や知見の収集が進められています。
現在、国内ではPFOS及びPFOAの製造・輸入等は原則禁止されています。
しかし、過去に環境中へ排出されたPFOS及びPFOAが、公共用水域や地下水などから検出される事例は現在も報告されています。
PFASは、環境中で分解されにくく、長期間にわたり残留・移動する性質があります。そのため、過去の事業活動や泡消火薬剤の使用などに由来するPFASが、河川・地下水・ダムなどの水道水源へ移行し、水道水から検出される場合があります。
主な移行経路としては、以下のような例が挙げられます。

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【事例】 ・土壌から地下水への移行 ・河川や湖沼への流入 ・大気を通じた移動 |
このように、水道水からPFASが検出される背景には、周辺環境から水道水源へPFASが移行する構造が関係しています。
国土交通省及び環境省は、2026年4月の水質基準化を踏まえ、水道事業者等を対象にPFOS及びPFOAの検出状況に関する調査を実施しています。
2025年12月に公表されたフォローアップ調査では、検査実績のある水道事業者等や専用水道の設置者数が前回調査から増加し、実態把握が進んでいることが示されました。調査結果の概要は以下の通りです。
| 分類 | 調査対象(事業数・設置者数) | 暫定目標値の超過(※) |
|---|---|---|
| 水道事業等(水道事業・水道用水供給事業) | 3,550 | 19事業 |
| 専用水道 | 8,056 | 59設置者 |
※2025年12月のフォローアップ調査時点の情報
※水道事業等の19事業のうち、18事業はすでに対策を実施し、最新の検査結果では暫定目標値を下回っています。残り1事業についても応急的な対応が実施されており、今年度中に対策が実施される予定です。
また、暫定目標値を超過した59の専用水道のうち、35設置者は上水道への切替えや当該井戸の取水停止等の対策を実施済みです。20設置者では飲用制限などの応急的な対応が実施され、残り4設置者についても今年度中に対策が実施される予定です。
これらの調査結果から、水道におけるPFOS及びPFOAの検査・対策は進展している一方、暫定目標値を超過した事例も確認されています。今後も、検査未実施の水道事業者等への検査実施の要請や、超過が確認された場合の速やかな対応が求められます。
全国的なPFAS調査について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
【関連記事】PFAS汚染マップは公開されている?環境省の調査結果と全国の実態

水道水中のPFAS、特にPFOS及びPFOAは、ng/L単位という極めて低い濃度で管理されるため、高い精度を確保した検査・分析が必要です。
国はPFOS及びPFOAの標準的な検査方法を示しており、2026年4月の水質基準化に伴い、水質基準への適合判定では告示法に基づく検査が求められます。
PFASの調査・検査は、目的に応じて、水道水源である原水、浄水場で処理された浄水、利用者に供給される給水栓水などを対象に実施されます。
原水は水源への流入状況を把握するため、浄水は除去・低減対策の効果を確認するため、給水栓水は水質基準への適合状況を確認するために調査・検査されます。
公開されている調査結果を確認する際は、採水地点、採水日、対象物質、合算値か個別値か、単位などを確認することが重要です。
特に日本の水質基準値は、PFOS及びPFOAの合算値で0.00005 mg/L(50 ng/L)以下とされています。
水道水中のPFOS及びPFOAの標準検査方法では、検水を固相抽出で精製・濃縮した後、LC-MSまたはLC-MS/MSを用いて測定します。
ng/Lレベルの微量分析となるため、測定方法だけでなく、採水容器や試薬、装置部品からの混入を抑える品質管理も重要です。
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【分析方法の概要】 ・内標準物質の添加 |
品質管理では、適切な採水容器の使用、試薬・溶媒のブランク確認、回収率の確認などが重要です。
また、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などのフッ素樹脂製の器具や装置部品は、分析結果に影響する可能性があるため、使用を避けるか、事前に影響を確認する必要があります。
PFAS分析では、採水から前処理、測定、結果の解釈までの各段階で精度管理が求められるため、調査計画の段階で分析機関に相談し、採水方法や検査条件を整理しておくことが推奨されます。

水質基準値(PFOS及びPFOAの合算で50 ng/L以下)を超過、または超過のおそれがある場合は、供給する水の安全性を確保するため、原因の確認と濃度低減に向けた対応を検討します。
主な対応としては、水源の切替え・取水停止などの水源管理、活性炭やイオン交換樹脂などを用いた浄水処理、処理後に発生する廃棄物や濃縮液の管理が挙げられます。
水道水源でPFOS及びPFOAが高い濃度で検出された場合、水道事業者や専用水道設置者は、給水栓水が水質基準値に適合するよう、水源側での対応を検討します。
代表的な対応としては、濃度が高い水源からの取水停止、別の井戸・河川水・受水先への切替え、複数水源の取水比率の調整などがあります。
複数の井戸や取水口がある場合は、地点ごとの検査結果を確認し、どの水源が濃度上昇に関係しているかを把握することが重要です。
水源の切替えなどの対処法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【関連記事】水道法の水質基準とは?2026年のPFAS規制見直しと企業の対応
水道水源から検出されるPFOS及びPFOAなどの主な低減技術として、以下のような方法が検討・導入されています。
| 手法 | 概要 |
|---|---|
| 活性炭処理(GAC・PAC) | PFASを吸着して除去する方法です。粒状活性炭(GAC)や粉末活性炭(PAC)が用いられますが、対象物質や水質条件によって効果は異なります。 |
| イオン交換樹脂 | PFASが陰イオンの性質を持つことを利用し、陰イオン交換樹脂などで除去する方法です。 |
| 膜処理(RO膜・NF膜) | 逆浸透(RO)膜やナノろ過(NF)膜により、PFASを含む成分を分離する方法です。 |
また、環境省は2026年6月に「PFOS等の濃度低減のための対策技術集」を公表しました。同技術集では、水を対象とするPFOS等の濃度低減技術として、活性炭、イオン交換樹脂、膜処理などの技術が整理されています。
なお、技術の効果は対象となる水質や濃度、処理条件などによって異なります。除去方法を選定する際は、こうした条件に加え、対象物質、処理量、維持管理コスト、処理後に発生する廃棄物の管理などを総合的に考慮する必要があります。
そのため、地域や施設の状況に応じて、複数の対策を組み合わせながら、継続的に水質を確認することが重要です。
【関連記事】PFAS(有機フッ素化合物)は除去できる?具体的な除去方法と種類
PFASは環境中で分解されにくいため、除去処理で捕集したPFASを適切に管理しなければ、再び環境中へ移行するおそれがあります。
そのため、活性炭やイオン交換樹脂、膜処理などを用いる場合は、除去設備の導入だけでなく、使用済み吸着材や濃縮液の管理方法もあわせて検討する必要があります。
| 対象項目 | 管理・処理の考え方 |
|---|---|
| 使用済み活性炭 | PFASを吸着した活性炭は、専門業者への委託などにより適切に処理を行う。 |
| 使用済みイオン交換樹脂 | 使用後の樹脂は、含有物質や処理条件を確認したうえで、適切な処理方法を検討する。 |
| 膜処理の濃縮液 | PFASが濃縮されるため、放流先や環境負荷を踏まえた管理・処理が必要。 |
環境省は、PFOS及びPFOA含有廃棄物の処理に関する技術的留意事項を示しています。処理後の廃棄物や濃縮液を扱う際は、関係法令や通知等を確認し、専門業者とも連携しながら適切な処理方法を検討することが重要です。
詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【関連記事】PFASの除去方法として有効な活性炭の特徴と注意点
【関連記事】事業者が注意すべきPFASの排水規制は?法律と規制内容について

2026年4月1日からPFOS及びPFOAが水道水の水質基準項目に追加されたことに伴い、水道事業者や専用水道の設置者には、水質検査の実施と基準値の遵守が求められます。
対応を進める際は、検査頻度、採水地点、対象物質、過去の検査結果、水源周辺の状況などを整理し、調査計画を立てることが重要です。PFOS及びPFOAの検査は、おおむね3か月に1回以上の実施を基本とし、給水栓水などの適切な地点で確認します。
また、検査結果を確認する際は、濃度の単位、採水地点、対象物質、合算値か個別値かを確認する必要があります。日本の水質基準値は、PFOS及びPFOAの合算値で0.00005 mg/L(50 ng/L)以下です。
基準値を超過した場合、または超過のおそれがある場合は、再検査や追加調査を行い、水源の切替え、取水停止、活性炭処理などの濃度低減策を検討します。あわせて、関係機関への報告や利用者への情報提供も必要です。
PFASに関する管理対象物質や検査方法は、今後も見直される可能性があります。国土交通省や環境省が公表する最新資料を確認し、行政情報に基づいて対応を進めることが重要です。

水道水からPFASが検出される背景には、水道水源である河川・地下水・ダムなどが、周辺環境からPFASの影響を受ける構造が関係しています。
安全な水供給を維持するためには、採水地点や対象物質を整理したうえで、適切な分析・モニタリングを行い、必要に応じて水源管理や除去・低減策を検討することが重要です。
PFAS分析はng/Lレベルの微量分析であり、器具や試薬からの混入防止、前処理、結果の解釈などに専門的な知見が求められます。
水道水中のPFAS対応では、最新の行政情報や検査方法を確認しながら、調査計画から分析、対策検討までを段階的に進めることが重要です。
PFAS分析や調査方法に不明点がある場合は、専門機関への相談も選択肢となります。
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