著者:Klaudia Shick, M.Sc., Ph.D., Manager, Cell and Molecular Biology; Stan Prince, Sr. Scientific Advisor; Eurofins BioPharma Product Testing
「バイオファーマニュースレター2022年10月号」より、ユーロフィン分析科学研究所に関連する記事を翻訳してご紹介しています。
細胞・遺伝子治療(CGT:Cell and gene therapies)は、最も急速に発展している治療分野の1つであり、まさにヘルスケアイノベーションの中核をなすものです。
細胞・遺伝子治療用製品等の製造には、多くの場合、ヒトのドナー細胞や患者自身の細胞など、哺乳類細胞(セルバンク)を使用します。
哺乳類細胞は、ウイルス、微生物、真菌、その他の病原体やマイコバクテリウムによる汚染を受ける可能性があります。
マイコバクテリウムはヒトに結核を引き起こします。世界保健機関(WHO)の調査によると、2020年には世界中で1,000万人が結核を発症したと推定されています。
マイコバクテリウムは、長年ワクチン業界で懸念されてきましたが、現在では遺伝子治療業界でも懸念されてきています。これらの微生物が存在しないことを確認する試験は、米国食品医薬品局(FDA)のワクチンガイダンス(2010年)やWHOの動物細胞培養の評価のAnnex3など、さまざまな規制文書で概説されています。FDAのガイダンスに従って、細胞がマイコバクテリウム属に感染しやすい種由来である場合、適切な試験を実施する必要があります。
Eurofins BioPharma Product Testingは、ワクチン及び細胞・遺伝子治療用製品等の製造に使用する細胞株におけるマイコバクテリウム属の存在の検査に使用するプラットフォームであるリアルタイムPCR法を最適化し、バリデーションを実施しました。
このアッセイは、M. bovis、M. tuberculosis、M. microti、M. caprae、M. pinnipedi、M. africanum、及びM. canetti(人と動物に影響を与える病原性の菌種)を含む結核菌群(MTBC:Mycobacterium tuberculosis complex)DNAを検出することができます。
バリデーションは、FDA ICH調和3極ガイドラインQ2(R1)に基づいており、標準試験は現行の適正製造基準(cGMP:current Good Manufacturing Practices)に対応して実施されています。
PCR法の検出限界(LOD:limit of detection)は、PCR反応あたり16コピーの核酸であり、広範な適合性/干渉試験は不要です。マトリックス干渉の評価は、各アッセイのコントロールを伴う標準サンプル試験に含まれます。この迅速な標準アッセイは、1週間以内という、非常に短いターンアラウンドタイムで完了します。
従来のマイコバクテリウムの試験法はin vitroアプローチを用いていました。CGT業界の変動の加速に伴い、試験処理量の増加と必要なTATに対応するためには、革新的なアプローチが必要です。
Eurofins BioPharma Product TestingのマイコバクテリウムコンプレックスのPCR検出法は、必要はサンプルが1~2 mLのみで、試験成績書は10日以内に発行することができます。
細胞株がウイルスベクター及びワクチン製造に使用しても安全であることを確認するためには、マイコバクテリウムに加えて、微生物学的試験(無菌性)、マイコプラズマ試験、及び外来性のウイルス試験のすべてが必要です。
Eurofins BioPharma Product Testingは、規制要件を満たし、臨床試験や商業用分子製品の安全性確保のために取り組んでいる世界中のクライアントに、GMPに準拠したバイオセーフティ試験のフルパッケージを提供することができます。
関連サービス